Verger(ヴェルジェ)
カテゴリー:果樹園・りんご畑(カルヴァドス文化の基盤)
■ 定義
Verger(ヴェルジェ)はフランス語で
「果樹園」「りんご畑」 を意味する言葉です。
カルヴァドス造りにおいて最も重要な要素であり、
原料となるりんご・洋梨が育つ農園そのものを指します。
カルヴァドスの品質は、
どの Verger(果樹園)の果実を使うかによって大きく左右されます。
■ Verger(果樹園)の種類
- Verger Haute-Tige(オートティージュ):高木タイプの伝統的果樹園。自然で豊かな香り。
- Verger Basse-Tige(バスティージュ):低木・近代的な果樹園。効率的で安定生産。
- Vergers Mixtes(混合果樹園):複数の品種を植える多様性のあるスタイル。
■ Verger の役割と重要性
- カルヴァドスの香り・味わいを決定する「テロワール」の中心
- 土壌・日照・降雨量・標高などが果実の個性を形成
- 品種構成によりフルーティー/ビター/タンニンのバランスが変わる
- 果樹園が古いほど、複雑で深い味わいの果実が得られる傾向
■ 主なりんご品種タイプ
- Amères(ビター)
- Douces-Amères(ビター・スウィート)
- Douces(スウィート)
- Acidulées(酸味系)
■ 背景
ノルマンディーの農村景観は、何百年も前から続く
Verger(果樹園)に支えられています。
特に Pays d’Auge や Domfrontais などの AOC 地域では、
伝統的な古木の果樹園が数多く残り、カルヴァドスの香りに豊かな個性を与えています。
カルヴァドスの生産者はしばしば、
「蒸留所よりまず果樹園」
と語るほど、Verger の重要性は絶対的です。
葡萄にとってのブドウ畑と同じく、
果樹園こそがスピリッツの魂ともいえる存在です。